麻痺のリハビリの重要性 脳梗塞 リハビリ
麻痺の方の訓練では随意性訓練ももちろん大切ですが、一般の項にも書かせていただいた通り麻痺の方が自力で生活する予後は麻痺側上下肢をどれだけ使えるか、意識できるかにかかってきます。患者さんはどうしても非麻痺側(健康な側)にどんどん意識が向いて行ってしまいます。そうするとどうしても全体としての体の動作が崩れていってしまいます。非麻痺側は放っておいても動いてくれるので、麻痺側中心に動作を組み立てることが大切になってきます。
随意性訓練
運動麻痺の訓練には『情動』がとても大切となってきます。リハビリではよく臥位で関節の曲げ伸ばしや机上でワイピング等の訓練がよく見受けられます。しかしながら人間の脳に残されている運動プログラムにはそのようなメモリーはほとんどないといってよいです。つまりその様な運動は患者さんにとって実は一番難しい動きです。
人間の脳に大きく刻まれているのは何かをしたいという強い意志です。手を上げたり関節を伸ばしたりという意識より、手を伸ばして何かを取りたい、階段を上りたいという意識です。その様な意識と結び付けた随意性訓練が大切となってきます。
そして、やはり日常動作であるADL動作は随意性においてもとても大切となってきます。作業療法士はADLを訓練するだけでなく、それをリハビリの手段として使うことが作業療法士の武器となります。
歯磨き動作や洗体動作は人間の動作の記憶を呼び起こしてくれます。また、座位が保てなくなった患者さんにおいて座位でADL動作をすることで(このような姿勢で歯を磨いていた、身だしなみを整えていた、字を書いていた)という記憶がよみがえってきます。随意性訓練や姿勢訓練にADL訓練は最も有効な手段といえるでしょう。
随意性訓練には人間の本能に眠る『情動』が重要です。
感覚訓練
麻痺側の訓練には運動中心となりがちですが適切な運動を行うには感覚が欠かせません。一番大事なことは動作において脳からのINとOUTを50/50に保つ。運動と感覚を50/50に保つことがとても大切です。運動感覚には動いて感じて修正する。動いて感じて修正する。ということを瞬時に行って動作を完成させています。つまり、運動訓練だけでは駄目で、手の傾き、伸びの状態また、体の傾き、重心の位置を感じることが大切です。この状態が崩れることでpusher syndrome(押す人症候群)や起き上がりや座位で起こる伸展パターン等が起きています。